求人票の「アットホーム」に騙された看護師の実体験|本当の意味と危険ワード10選

求人票

「アットホーム」という言葉に騙された私

転職活動で求人票を見る時、「アットホーム」って書いてあると、なんだか良さそうに見えますよね。

私も、そう思っていました。

特養の求人票をハローワークで見つけた時、そこには確かに「アットホーム」と書いてありました。病院のホームページも確認しました。

「あったかい感じがする。私にもできるかもしれない」

そして、保育園がついていることもプラス点でした。「すごくいいじゃん!」そう思って、入職を決めました。

でも、実際に入職してみたら、「アットホーム」の本当の意味が分かりました。

そして、お局看護師にターゲットにされて、11ヶ月で退職することになったんです。

この記事では、求人票の「アットホーム」に騙された私の実体験と、求人票の危険ワード、そして求人票だけでは分からない情報の集め方を解説します。

「アットホーム」の本当の意味が分かった日

入職してから、「アットホーム」の本当の意味が分かりました。

それは、人数が少なく、その少人数で和気あいあいとしているということでした。

でも、その和気あいあいに入れない私は、全然アットホームじゃありませんでした。

休憩室での地獄

休憩室でご飯を食べる時、机を囲んで一斉に食べるんです。その日のメンバー、5人とかで。

ご飯を食べていると、もらったお菓子をみんなに配るんです。それが、すごくいたたまれなかった。「ああ、お菓子もらったんだ。私も何か持ってこなきゃいけないのかな」そんなプレッシャーを感じながら、砂を噛むような思いでご飯を食べていました。

あと、コーヒー代も請求されて、コーヒーを淹れて飲むんですけど、それもすごくいたたまれない感じでした。「このコーヒー、別に飲みたくないのに…」そう思いながらも、断れない雰囲気。

私は、その輪に入れませんでした。お局にターゲットにされて、毎日小言を言われている私が、その輪に入れるはずがありませんでした。

みんなが楽しそうに話している中、私だけが浮いている。そんな毎日でした。

「アットホーム」が隠していた3つの真実

求人票に「アットホーム」と書いてある場合、実際には以下のような意味が隠れていることがあります。

まず一つ目は、人数が少なすぎるということ。少人数で回しているということは、ギリギリの人員で運営しているということです。休みが取りにくいし、一人が休むと回らない。そういう職場だったんです。

二つ目は、閉鎖的な人間関係。昔からいるメンバーで固まっていて、新人が輪に入りにくい。派閥やお局が存在する。まさに私が体験した通りでした。

三つ目は、家族経営のような独特のルール。お菓子の配布文化、コーヒー代の徴収、プライベートな付き合いの強要、飲み会参加が暗黙の了解。こういった独特のルールが存在していました。

私が入職した特養は、この3つ全てに当てはまっていたんです。

求人票の危険ワード10選

「アットホーム」以外にも、求人票には注意すべき危険ワードがたくさんあります。私の経験と、他の看護師仲間から聞いた情報をもとに、10個の危険ワードを紹介します。

1. 「アットホーム」「和気あいあい」

表向きの意味は、温かい雰囲気、働きやすい職場。でも本当の意味は、人数が少ない、閉鎖的な人間関係、輪に馴染めないと地獄、ということです。

まさにこれに騙されました。その言葉の通りの場所もあるかもしれませんが、私のように、少人数で和気あいあいとしている=新人が入りにくい、という場合もあります。そして、その輪に馴染めなかったら地獄です。そういう思いもちょっと持ちながら入った方がいいと思います。

2. 「やりがいのある仕事」

表向きの意味は、充実した仕事内容。でも実際には、給料が安いのを「やりがい」で誤魔化している、業務量が多い、残業が多い、そういう可能性があります。

「やりがい」を強調している職場ほど、給料や待遇をしっかり確認した方がいいです。本当にやりがいがあるなら、それに見合った給料を出せるはずですから。

3. 「若手活躍中」「20代活躍中」

表向きの意味は、若い人が多くて活気がある。でも本当の意味は、ベテランがすぐ辞める、指導体制が不十分、離職率が高い、若手しか残らない使い捨て職場、ということです。

なぜ若手しかいないのか。それは、ベテランが定着しないからです。働きにくい職場だから、経験を積んだ看護師はみんな辞めていく。残るのは経験の浅い若手だけ。そういう構図になっている可能性が高いです。

4. 「幅広い年齢層が活躍」

表向きの意味は、年齢関係なく働ける。でも本当の意味は、「誰でもいいから来てほしい」人手不足が深刻、年齢制限を書けないから曖昧にしている、ということです。

本当に働きやすい職場なら、自然と幅広い年齢層が集まります。わざわざ強調する必要はないんです。

5. 「残業少なめ」「残業ほぼなし」

これは私の経験から言えることですが、私の感覚だと、暇なのかな?と思いました。患者さんがあまり来ないし、作業量が少ないのかな?だから、そのままの意味で「残業少なめ」でした。

暇なのが好きな人にはいいと思います。でも、私はちょっと合わなかったです。急性期で忙しく働く方が、私の性格には合っていました。

あと、「ほぼなし」ということは、「あることはある」ということです。サービス残業の可能性もあるし、逆に暇すぎてスキルが身につかないこともあります。定時で帰れない雰囲気がある職場も多いです。

面接では、「月平均の残業時間は何時間ですか?」と具体的に聞くべきです。

6. 「学歴不問」「未経験歓迎」

表向きの意味は、誰でも応募できる。でも本当の意味は、とにかく人手不足、離職率が高い、教育体制が整っていない可能性、ということです。

本当に人気のある職場なら、わざわざ「誰でも来てください」と言う必要はありません。

7. 「頑張り次第で昇給」

表向きの意味は、努力が評価される。でも実際には、昇給基準が曖昧、実際にはほとんど昇給しない、精神論で働かせる、そういう職場です。

「頑張り次第」って、どれだけ頑張ればいいんでしょうか。基準が曖昧すぎます。本当に昇給する職場なら、「昨年実績:平均昇給5,000円」のように具体的な数字を出せるはずです。

8. 「みんなで助け合う職場」

表向きの意味は、チームワークが良い。でも本当の意味は、人手不足で助け合わないと回らない、休みが取りにくい、「助け合い」という名の押し付け、ということです。

本当にチームワークが良い職場なら、わざわざ「助け合う」と強調する必要はないんです。普通にチームワークが取れているから。

9. 「風通しの良い職場」

表向きの意味は、意見を言いやすい。でも本当の意味は、実際は風通しが悪いから強調している、上下関係が厳しい可能性、言っても改善されない、ということです。

これも同じです。本当に風通しが良いなら、わざわざ言う必要はありません。

10. 「教育体制充実」

これは本当に見た方がいいです。私には、新人教育を受けていない負い目があります。

専門学校を卒業して、すぐに公務員系の病院に入りました。でも、すぐに妊娠が発覚して、実は新人教育を受けていないんです。

子どもを産んで、いざ復帰しようとした時、「すぐに夜勤やってください」「すぐにいろんなことを任されそう」になって。本当は、子どもから離れるのも嫌だったけれど、一瞬は戻ろうとも悩みました。

でも、「今、このちっちゃい子どもを見れるのは私しかいない」そう思って、公務員なのに辞める決断をしたんです。主人も忙しい仕事だったし。

だから、新人教育を受けてこなかった負い目があるんです。

「充実」の基準は曖昧です。実際には放置される可能性もあります。プリセプター制度があるか確認は必須です。

面接では、「具体的にどのような教育プログラムがありますか?」「プリセプター制度はありますか?」「新人の独り立ちまでどのくらいの期間ですか?」と聞くべきです。

教育体制が充実しているかどうかは、本当に面接でもしっかり聞いた方がいいと思います。

逆に、良い求人票の特徴

危険ワードばかり紹介しましたが、逆に良い求人票の特徴も知っておきましょう。

具体的な数字が書いてある

良い求人票は、「残業月平均5時間」「看護師配置7:1」「有給取得率85%」「育休取得率100%」「平均勤続年数8年」のように、具体的な数字が書いてあります。

逆に悪い求人票は、「残業少なめ」「休みやすい」「長く働ける」のように曖昧な表現ばかりです。

具体的な数字がある=隠すことがない、という証拠です。数字で示せるということは、自信があるということですから。

待遇が明確

良い求人票は、「月給28万円〜(夜勤手当含む)」「賞与年2回(昨年実績4.2ヶ月)」「住宅手当月2万円」のように、待遇が明確に書いてあります。

逆に悪い求人票は、「給与:応相談」「賞与:業績による」「各種手当あり」のように曖昧です。

待遇を明確に書いている=自信がある証拠です。隠すことがないから、堂々と書けるんです。

求める人物像が具体的

良い求人票は、「患者様の話をじっくり聞ける方」「チーム医療を大切にできる方」「〇〇の資格取得を目指している方歓迎」のように、求める人物像が具体的です。

逆に悪い求人票は、「やる気のある方」「明るい方」「頑張れる方」のように抽象的です。

具体的な人物像=職場のビジョンが明確な証拠です。どんな人に来てほしいか明確だということは、職場の方向性がしっかりしているということです。

デメリットも書いてある

良い求人票は、「駅から徒歩15分」「夜勤月4〜5回」「残業月10〜15時間程度あり」のように、デメリットも正直に書いてあります。

デメリットも正直に書いている=誠実な職場の可能性が高いです。良いことばかり書いて、悪いことを隠している職場より、正直に全部伝えてくれる職場の方が信頼できますよね。

求人票だけでは分からないこと

私の失敗から学んだことは、求人票だけでは絶対に職場の実態は分からないということです。

求人票では、本当の人間関係は分かりません。お局の存在、派閥の有無、いじめの実態。こういうのは、求人票には絶対に書いてありません。

「アットホーム」の本当の意味も分かりません。閉鎖的な人間関係なのか、独特のルールがあるのか、新人が馴染めるのか。入ってみないと分からないんです。

実際の忙しさも分かりません。「残業少なめ」の実態、サービス残業の有無、休憩が取れるか。これも実際に働いてみないと分からない。

教育体制の実態も同じです。「充実」の基準は曖昧だし、プリセプターの質、放置されないか。こういうのも、求人票だけでは判断できません。

離職率と離職理由も重要です。なぜ人が辞めるのか、求人が頻繁に出ていないか。こういった情報は、求人票だけでは絶対に分かりません。

求人票の裏を読む5つの方法

では、どうやって求人票の裏を読めばいいのか。私が次の転職で実践した方法を紹介します。

1. 病院見学で確認する

求人票で気になった職場は、必ず見学に行くべきです。私は特養で失敗した後、次の転職では必ず見学に行きました。そして、「アットホーム」と書いてあった職場でも、実際に見学して雰囲気を確認しました。

見学で確認すべきなのは、スタッフの表情です。目が死んでいないか、笑顔があるか。これが一番大事です。あとは、挨拶の有無、ナースステーションの雰囲気、年齢層のバランス、休憩室の様子。こういうのを自分の目で確認するんです。

詳しくは別記事「看護師の病院見学で見落とすと後悔するポイント12選」で解説しています。

2. 面接で具体的に質問する

面接は、こちらが職場を見極める場でもあります。私が次の転職で必ず聞いた質問は、「残業は月平均何時間ですか?」「プリセプター制度はありますか?」「新人教育の期間はどのくらいですか?」「スタッフの年齢層を教えてください」「離職率はどのくらいですか?」「前任者の退職理由は何ですか?」です。

曖昧な答えが返ってきたら要注意です。具体的な数字で答えられない=隠したいことがある、ということですから。

詳しくは別記事「看護師の面接でよく聞かれる質問15個と回答例」で解説しています。

3. 転職サイトで内部情報を聞く

看護師専門の転職サイトには、実際にその病院で働いている(働いていた)看護師からの口コミや内部情報を持っていることがあります。

転職サイトで聞けるのは、実際の残業時間、人間関係の実態、お局の有無、離職率と離職理由、職場の雰囲気、「アットホーム」の本当の意味。こういった、求人票には絶対に書いていない情報です。

私も、もっと早く転職サイトのアドバイザーに相談していれば、特養での失敗は防げたかもしれません。求人票の言葉だけを信じずに、できるだけ多くの情報を集めることが大切です。

4. 求人の頻度を確認する

同じ病院の求人が頻繁に出ている場合は要注意です。確認方法は、ハローワークの求人履歴を見る、転職サイトで「この病院、前も求人出てましたよね?」と聞く、Google検索で「〇〇病院 求人」と検索して、複数のサイトに出ているか確認する、です。

頻繁に求人が出ている=離職率が高い=何か問題がある可能性が高いです。人気のある職場なら、求人を出す必要はありませんから。

5. 病院の口コミサイトを確認する

ナスコミ(看護師専門の口コミサイト)、転職会議、Googleの口コミ。こういったサイトを確認するのも有効です。

ただし、口コミは主観的なものなので、参考程度にとどめておきましょう。複数の口コミで共通する内容があれば、それは信頼できる情報の可能性が高いです。

私が次の転職で気をつけたこと

特養で「アットホーム」に騙された私が、次の転職で気をつけたことをまとめます。

まず、求人票の見方を変えました。「アットホーム」と書いてあったら警戒する。「やりがい」と書いてあったら給料を確認する。「若手活躍」と書いてあったら離職率を確認する。曖昧な表現があったら、面接で具体的に聞く。こういう風に、求人票を疑いの目で見るようにしました。

次に、病院見学を徹底しました。必ず見学に行く、スタッフの表情を見る、休憩室の雰囲気を確認する、年齢層のバランスをチェックする。これは絶対にやるようにしました。

面接でも踏み込んだ質問をしました。「残業は月平均何時間ですか?」「離職率はどのくらいですか?」「前任者はなぜ退職されたんですか?」こういう質問を、遠慮せずに聞きました。

転職サイトでも内部情報を聞きました。「この病院の評判はどうですか?」「お局はいますか?」「実際の残業時間は?」アドバイザーに遠慮なく聞きました。

そして一番大事なのは、保育園だけで決めなかったことです。特養での最大の失敗は、「保育園があるから」という理由だけで決めたことでした。次の転職では、保育園も大事だけど、職場環境や人間関係も同じくらい大事だと考えるようにしました。

「アットホーム」に騙されないために

「アットホーム」という言葉に騙されないでください。

その言葉の裏に、どんな意味があるのか。しっかり見極めてから、入職を決めてください。私のように、後悔しないために。

求人票で「アットホーム」を見たら、こう考えてください。本当にアットホームなのか?人数が少ないだけではないか?閉鎖的な人間関係ではないか?新人が馴染める雰囲気か?

そして、必ず病院見学に行って、自分の目で確認してください。休憩室の雰囲気、スタッフの表情、お菓子を配る文化があるか、独特のルールがないか。こういうのを、自分の目で見るんです。

まとめ:求人票だけで判断しない

求人票は、あくまで職場の「表向きの顔」です。

「アットホーム」「やりがい」「教育体制充実」こういった言葉の裏に、どんな意味があるのか。しっかり見極める必要があります。

できれば、病院の内部情報、例えば忙しさとか、教育体制とか、人間関係とかについて、分かれば調べた方がいいと思います。私のように、お局様に毎日小言を言われて、精神を病んで辞めるよりかは、事前にそういった情報が分かれば良いなって思います。

求人票で確認すべきなのは、具体的な数字が書いてあるか、待遇が明確か、危険ワードが多くないか。これをしっかりチェックしてください。

そして、求人票だけでは分からないこと、本当の人間関係、お局の存在、実際の忙しさ、教育体制の実態、離職率と離職理由。こういうのを、病院見学、面接での質問、転職サイトでの情報収集、求人の頻度確認、口コミサイトのチェック。こういう方法で調べるんです。

求人票だけで判断しないでください。あなたの目で見て、耳で聞いて、確かめてください。


転職活動をスムーズに進めるために

実は、私のまわりの看護師仲間は、けっこう【MCナースネット】に登録してる人が多かったです。

派遣や単発の求人が多いし、時給も「え、そんなに…?」ってなるレベルで高いのが多い。いきなり転職じゃなくて、まずは求人だけ見るっていう使い方もできます。

転職サイトのアドバイザーに相談すると、求人票に書いていない内部情報が聞けます。「アットホーム」の本当の意味を教えてもらえるし、お局がいるかどうか事前に分かります。離職率や離職理由も分かるし、求人票の危険ワードを見抜いてもらえます。

当時の私も、もっと早く転職サイトに相談していれば、「アットホーム」に騙されることはなかったと思います。

迷ったら、まずは”見るだけ”で大丈夫です。自分に合う働き方が見つかると、本当に楽になります。

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